この記事でわかること
- 展示会で配布するチラシの作り方
- チラシに掲載すべき情報
- 受け取られやすいチラシの特徴
展示会の出展前には、配布するチラシの事前準備も欠かせません。展示会が終わった後も来場者の手元に残るため、会場で使う重要なツールのひとつといえます。
開催時間の都合上、来場者一人ひとりに対して、丁寧に説明するのは不可能なので、チラシの配布数を増やすことで出展成果を高めようとする取組みも重要です。とはいえ、来場者から魅力的に映らないチラシは受け取られにくく、情報が埋もれてしまう可能性もあります。
今回は、成果につながるチラシの作り方と印刷や配布に関するノウハウを紹介します。
展示会にチラシが必要な理由
チラシは展示会出展の事前準備において、優先度の高いツールです。
製品の情報を伝える手段としては、ほかにもパンフレットやポスターなどさまざまありますが、なぜチラシが重要なのかを紹介します。
自社製品の特徴を瞬時に伝える
展示会場内を歩く人に自社ブースに立ち寄ってもらうためには、来場者の関心を一瞬で惹きつける必要があります。
ブースに掲示するキャッチコピーや展示製品そのものの魅力も重要ですが、同じくチラシが端的に魅力を伝える内容であれば、足を止めるきっかけになります。実際に関心の薄かった来場者が、チラシをみて興味を持つケースも多くあります。
来場者に情報を持ち帰ってもらう
来場者は会場内でさまざまな企業の情報を目にします。展示会が終わった後も記憶に残すために、手元に残る資料が必要です。
来場者にパンフレットを渡しているブースも見受けられますが、不特定多数に配布するにはコスト的に問題があります。また受け取った側も分厚い冊子を持ち帰ることを負担に感じるケースが多いようです。心理的にも物理的にも、チラシの方がより多くの人に受け取ってもらいやすいでしょう。
接客の質を高める
製品を説明する際に、特徴がわかりやすいチラシがあると説明の質が高まります。
話し上手な人と苦手な人の差も生まれづらくなり、結果として商談で好反応が得やすくなります。パンフレットは情報量が多く、説明が冗長的になりやすいため、チラシのような端的な情報の方が説明にも適しています。
受け取られやすいチラシの特徴
チラシはただ情報をまとめるだけでなく、来場者が受け取りたくなる「デザイン」も重要です。即席で作ったようなチラシは、魅力的と感じてもらえない場合が多く、後から読み返そうとも思われにくいでしょう。
以下で、受け取られやすいチラシの特徴を紹介します。
メリットがわかりやすい
製品を使うことで「何が解決できるか」がわかるチラシは、関心を惹きやすいです。
製品の特徴のみを書いたチラシを読んでも、来場者はどのようなメリットがあるのかイメージしづらいものです。想定しているターゲットが抱えている課題とあわせて、導入によって得られる効果を明示しましょう。
文字が大きくシンプルなデザイン
細かな文字ばかりが並ぶ資料は敬遠されやすいです。受け取りたくなるチラシには、伝えたい内容が一言で表されています。
展示会場には、あらゆる企業の情報が溢れています。いかに優秀な製品でも、情報量が多すぎると魅力が伝わりづらくなってしまいます。
受け取られても、メッセージが伝わりにくいチラシはきちんと読んでもらえないと思った方がよいでしょう。あれも、これも、と情報を詰め込まず、できるだけ絞り込む意識が大切です。
図や表がありグラフィックが工夫されている
製品の写真や説明テキストのほか、メリットや性能を客観的に表した図表が入っていると説得力が増します。
写真や図、表などが入っていると、一目で読み取りやすく、さらに詳しく読みたくなる人が増えるため、受け取られやすくなるでしょう。
まずチラシで視覚的に惹きつけて、興味を持った人にはパンフレットも渡し詳細の説明を添えると、より効率的に見込み客を増やせるでしょう。
展示会のチラシを作るまでの手順
次にチラシを作成する手順を紹介します。ステップ別に、より効果的なチラシを作るためのポイントも解説します。
ターゲットを明確にする
チラシを受け取ってほしい人は、「どのような人か」。大勢の来場者のうち、「誰に製品の情報を届けたいか」。まずこのターゲット像を明確に描きましょう。
「情報システム部門の方へ」「小売店のオーナーのみなさま、必見」などといったメッセージを入れることで、受け取った人が「自分のことだ」と認識できるようになります。
さらに「〇〇にお困りの方に〜」など、製品で解決できる課題もあわせて盛り込むと、届けたい層により伝わりやすくなります。
訴求する内容を明確にする
次に、ターゲットに対して何を訴求するのかを決めます。
訴求内容はひとつに絞るケースもあれば、複数を入れることもあります。以下は、訴求内容の一例です。
- 製品をPRする
- 説明会やセミナーを案内する
- 製品を購入することで得られるメリットを伝える
- 開発までの経緯や会社としての理念を知ってもらう
訴求項目が少ないほど、メッセージはシンプルになり効果は高まります。盛り込みたい情報をやみくもに入れるのではなく、出展の目的や優先順位をあらかじめ整理しましょう。
ここまで決まれば、はじめてデザイン案の作成に着手できます。
各部署からデザインの承認を取る
まずはチラシのラフデザインを作ります。営業、マーケティング、開発など関連する部門の意見を集約しながら修正を加えて、最終承認を取ります。
修正の過程でさまざまな意見をもらうため、その意見すべてを反映させたくなるでしょう。しかし、すべての要望を叶えようとすると必然的に情報量が多くなり、わかりにくいチラシになってしまいます。
あくまで、シンプルさを追求することを最優先に、どの意見を取り入れるのか、取捨選択してください。
印刷する部数を決める
チラシは、想定される必要部数よりも多めに刷りましょう。数百部~数千部で余らせるくらいでもコスト的な損失は少ないはずです。逆に、当日不足して増刷すると、割高になるため、要注意です。
適切な部数は来場者の見込み数や、目標としている集客数などから割り出すことができます。展示会終了後もセールスツールとして使えるものなら、多めに刷っても無駄にはならないでしょう。
早めに入稿する
搬入日にブースへ直送するか、または社内に納品してもらい持ち運ぶかによって、納品までにかかる日数は異なります。いずれにしても印刷に1週間程度の期間を確保しましょう。
余裕を持って入稿した方が印刷費も安く済み、万一、修正が生じたときも対応できます。ギリギリの発注は「間に合わない」というトラブルも起こりえます。余裕がない状態ではチラシに誤植などが起きやすいため、おすすめしません。
展示会のチラシに掲載すべき情報
印刷スペースの都合上、チラシに載せられる情報には限りがあります。ここでは、チラシに必ず載せるべき情報をピックアップしてご紹介します。
明快なキャッチコピー
興味を惹くキャッチコピーを一番上に載せましょう。
来場者にとっては製品名よりも、どのような性能があるのか、これを買うとどうなるのかが気になります。文字のサイズも製品名と同じか、それ以上に大きく目立たせた方がより効果的です。
次の項目であげる「解決できる課題」を一言で言える製品は訴求力が強いといえます。いくつかパターンを作って、社内のメンバーに多数決を取るなどして、どのようなコピーがよいかよく検討しましょう。
製品が解決できる課題
製品の紹介により説得力を持たせるための補足説明を加えるイメージで記載します。
そのため、文字サイズはそこまで大きくせず、文字数も省きすぎず適度な情報量を持たせましょう。どのような効果があるのかを記載したり、免責事項を書いたりすることもあります。
製品の特徴や価格を並べておくことで、ユーザーもより具体的に検討しやすくなります。一目で情報がわかるように、表形式などでまとめておくとよいでしょう。
また、展示会会期中の特別価格などを設けて、お得感を提示するのも効果的な手法のひとつです。通常よりもどのくらい安いかを目立つように記載しましょう。
信頼性を高める情報
実際に製品を使った事例などの情報を入れ、信頼性を高めます。
導入したユーザーの企業名や実際の声、アンケート結果のグラフなど、具体的な意見やアンケート回答の数値データを入れると、より説得力の高い情報になります。
チラシ作成用に新たな情報を収集するのが難しい場合は、ほかのセールスツールに掲載されている情報を引用しても構いません。
アクションを促す言葉
製品の情報を載せただけのチラシでは、せっかく魅力を伝えられても次のアクションにつながりにくいでしょう。
商談アポイントの設定を促すなど、来場者に次にやってほしいことを明記します。
ステップを箇条書きにまとめたり、「2分で完了」など所要時間を記載したり、なるべくアクションのハードルを下げるように記載を工夫しましょう。
問い合わせ先
URLまたは直接の返信先アドレスを指定しておきます。
アクションを促す言葉のすぐ下やチラシの最下部にまとめて掲載すると、自然な流れで問い合わせを誘導できます。
また、問い合わせフォームのQRコードもあわせて載せておくと、アドレスを入力する手間が省けて、問い合わせが促進されるでしょう。
展示会で使用するチラシのよくある質問
展示会でチラシを準備・配布するうえでよくいただく質問をまとめました。自社でチラシを活用する際の参考にしてください。
展示会でチラシは何枚くらい用意すればいいですか?
展示会の規模や、来場者のうちターゲット層がどれだけの割合かによっても必要な枚数は変わってくるため一概にはいえません。
まず出展する展示会の情報を踏まえ、事前に集客目標を定めることをおすすめします。それをもとに、必要なチラシ部数を算出しましょう。必要最低限の部数より、数百部~千部程度は多く印刷しておくと安心です。
チラシに使う紙の質はどう選べばいいですか?
ある程度厚紙で、捨てにくいものを選ぶのがベストです。すぐに折れてしまう紙だと、存在感がなく、早く捨てられてしまう可能性もあります。一般的なコピー用紙で利用されている厚さが70~73kgのため、90~110kgの厚みを選ぶとちょうどよいでしょう。
また、紙質はコート紙・マットコート紙・上質紙などの選択肢があります。
チラシのデザインを考慮したうえで、最適な紙質を選びましょう。
チラシを多く受け取ってもらうには?
たくさん受け取ってもらうには、ただ配布するのではなく、適切な声掛けも必要です。
<声掛けの例>
新製品の特徴を伝える
「〇〇のような課題はありませんか」
「〇〇にご興味はありませんか」
こちらが伝えたいことを一方的に発するだけでは、来場者は圧を感じ警戒心を抱きます。ブースに立ち寄りたくなるフレーズや、来場者に質問を投げかけるような声掛けを意識してください。
まとめ
展示会のチラシについて、成果の出やすいチラシの特徴や作成上のポイントを解説しました。
展示会場にいる多くの来場者のなかで、最初から購入意欲が高くブースに訪れる人はそこまで多くないでしょう。しかし、製品のターゲットになりうる来場者は、会場内に多くいるはずです。そのような来場者の興味や関心を惹きつけるツールとして、チラシを効果的に活用しましょう。
RX Japan 株式会社 第二事業本部 小山 彩
2013年に中途入社。Exhibitor Successエキスパートとして国内外出展企業サポートに尽力。担当展は化粧品、観光、高機能素材に関する展示会などさまざま。2024年よりシニアエキスパートとしてすべての展示会で、出展社により成果をあげていただくために日々ノウハウや事例をお伝えしている。
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